生きる為に走る
恐怖体験によって、その恐怖から離れようと人が反応する時、更に大きな恐怖から自分を守ろうとする。しかし、同時に、最初の恐怖よりも逃げている途中で更に大きな恐怖がやってくるのではないかとの不安にも駆られる。
彼の背筋を悪寒が走り、どんどん離れていくうちに血管に氷のような冷たさをも感じた。悪いものを感じているがそれを避けることは出来なかった。彼の心は落ち着くようにと言っていたが、体は逃げ去るように洞窟の入口へと走った。入口についた時には胸を押さえ、打ちのめされた気持ちになっていた。
あり得ないような真実
もしあり得ないほど良いことに出会ったときには、疑ってかかれという言い伝えがある。そして、この言い伝えが少し楽観的であったとしても、確かにこの金の鉱山を誰が最後まで採掘せずにほおり投げてしまったのであろう。何があるのか?
このあり得ないほど良いことが真実であると、突き止めるべきであった。この金の鉱山が誰にも手を付けられていないという真実を。そのあと、家へと向かった。